FIREとは
「FIRE」とは、「Financial Independence, Retire Early(経済的自立と早期リタイア)」の頭文字をとった言葉です。
FIREを目指す人、最近増えていますよね。
斬新な概念かのようにFIREが話題になったり流行したり、FIREの派生語・種類がいくつか出てきたりしていますが、平たく言うと「早期リタイア」や「セミリタイア」などのことです。
いくつかあるFIREの中で最も必要資金が少ないため、よくおすすめされるのが「サイドFIRE」(≓セミリタイア)です。
サイドFIREとは
サイドFIREとは、「働かずにずっと生活を続けていくほどの資産はないものの、スモールビジネスやパートタイムの仕事などの収入+不労所得で、ゆったりと生活していくFIRE」です。
1日8時間・週5日というフルタイムの労働からは完全に解放され、時間的・精神的な余裕を感じながら、のんびりと豊かに過ごせる状態です。
お金の余裕もたっぷり感じられるか、あるいは、節約しながら必要最低限の支出に抑える生活なのかは、やり方次第です。
ナノ経営®では、カツカツの生活を強いられるセミリタイアではなく、自分のビジネス収入・資産収入の柱を育てていき、お金の余裕もたっぷり感じられる豊かなセミリタイアをおすすめしています。
バリスタFIREとの違い
特に、サイドビジネス(副業)しながらのFIREを「サイドFIRE」、パートタイムで働きながらのFIREを「バリスタFIRE」と区別して呼ぶ方も多いようです。
コーストFIREとの違い
「働かなくても豊かな生活を送れる十分な資産がありながら、趣味や社会奉仕のような感覚で、楽しみながらゆるく、敢えて働くFIRE」は、「コーストFIRE」と呼び区別することもあるようです。
サイドFIREの必要資金
「FIREの必要資金がいくらか」インターネットで検索している方が多いようなのですが、個人的には必要資金を調べてもあまり意味がないと考えています。
生活レベル・年間支出額がどのくらいか(これからどのくらいにするのか)、単身か扶養家族がいるのか、などによっても変わってきますので、一概にいくらと言うことはできません。
また、「最初にこのくらいの資金を貯めれば、ずっと安泰」などと断言することもできません。
重要なのは、自分のビジネスで稼げる力です。
しかも、「自分の技能や時間を切り売りして、忙しく長時間働いて稼げる力」ではなく、「(軌道に乗せるまでは労働したとしても、行く行くは)労働せずに、あるいは少ない労働時間で、できるだけ多くのビジネス収入を得られる仕組みを構築して稼げる力」です。
ナノ経営®では、そのための知識・情報・考え方などに関する記事を増やしていこうと考えています。
会社員として毎月の固定収入を得ながら、まずは副業でスモールビジネスを始めるのもいいですが、再現性の高さとビジネスがなかなかうまく育てられない場合のリスク対策を兼ねて、特におすすめしているのは、まずはWeb系フリーランスのエージェントに案件を紹介してもらう方向性です。
会社員を続けるよりも、時間の余裕・お金の余裕が増えるので、その時間やお金を自分のビジネス収入の柱を育てることに投じられます。
必要資金が気になっている方も多いようなので、FIRE関連でよく言われている情報や目安金額を以下に記載しておきます。
不労所得だけで生活することを目指すなら1億円以上?
不労所得だけで生活が成り立つ完全な早期リタイア、FIRE実現に必要な資金は「年間支出の25倍」と言われます。
これは、年間の利回りが4%と想定した場合の計算となっています。
利回り4%とすると、例えば年間支出額が400万円の人が、資産運用の収益・不労所得だけで生活していくためには、400万円×25=1億円の資産が少なくとも必要、ということになります。
ファイナンシャルプランナーの方が書いているWebメディアの記事などでは、「1億円あっても十分ではない」とも言われています。
突然の想定外の大きな出費や税率の引き上げ、社会情勢の変化など、途中で予定が狂ってしまい、FIRE生活を続けられなくなる可能性もあります。
そのうえ、自分の事業で稼げている方や一部の外資系の高給取りの方などならともかく、多くの方は1億円貯めるまでに何年もかかるのではないでしょうか。
そこでおすすめされているのが「サイドFIRE」です。
週2~3日は仕事を続けるサイドFIREなら5,500万円?
サイドFIREは、支出のすべてを不労所得で賄おうとせず、週2~3日程度は仕事をして収入を得続ける、という方向性です。
そのため、サイドFIRE生活に移行するための必要資金が少なくて済みます。
とは言え、なかなかまとまった金額が必要です。
例えば、年間支出額が400万円の人が週3日パートタイムとして働くと、年収180万円得られるとします。
すると、年間支出額400万円のうち180万円はパート代で賄えます。
ここで得られる収入が少ないことが、まだサイドFIREのハードルもリスクも高めています。
もっと手堅く、そしてできるだけ早く、豊かにサイドFIREする方法については、後述します。
残りの220万円を資産運用の収益(利回り4%と仮定)で賄うためには、220万円×25=5,500万円の資産が少なくとも必要、ということになります(税金の計算を度外視した大まかな計算です)。
完全な早期リタイアをするために必要な1億円という金額の半分近くになりました。
それでも、「5,000万円以上貯めるまでにやはり何年もかかってしまう、もっと早くセミリタイア生活ができないものか」とお考えの方もいると思います。
比較的よく検索されている、3000万円や2000万円でサイドFIREする場合についても、記載しておきます。
3000万円でサイドFIREする場合
投資に回せる資産が3000万円の場合について考えてみます。
利回り4%と仮定すると、3000万円なら年間120万円の不労所得が得られることになります。
2000万円でサイドFIREする場合
投資に回せる資産が2000万円の場合について考えてみます。
利回り4%と仮定すると、2000万円なら年間80万円の不労所得が得られることになります。
当然ですが、利回りが同じであれば、投資に回せる金額が少ないほど、不労所得も少なくなり、心許ない金額になります。
「足りない収入は、パートタイムの仕事で気楽に働いていけばいい」と考えて、いわゆるバリスタFIREの方向性を目指す人もいるようです。
やり方や方針は人それぞれですが、後悔したり困窮する可能性もあるので、あまりおすすめはできないです。
想定外の大きな出費や社会情勢の変化、大暴落などのリスクもある中、ギリギリの収入で本当に気楽に働いていけるのでしょうか。
労働時間を減らして、時間の余裕が生まれても結局、精神的・経済的に余裕のない生活となってしまう可能性があります。
安易にサイドFIRE生活に突入する前に、働く時間を減らしても十分なお金を稼げる力を身につけておくことがおすすめです。
不労所得をいきなり主な収入の柱にしようと考えるのではなく、まず本業や自分のビジネスで大きく稼げる力を磨いていくことが重要です。
その方が、どんな時代や社会になっても、生き抜いていけると思います。
サイドFIREの必要資金を少なくする方法
サイドFIREの必要資金=(年間支出額 ー 不労所得以外の年収)×25
先ほど見てきた内容をまとめると、サイドFIREの必要資金は、上記の算式で表すことができます(年利回り4%とする場合)。
すると、早くサイドFIRE生活に移行できるよう、サイドFIREの必要資金をできるだけ少なくするためには、3つの方向性が考えられます。
1.年間支出額を少なくする
削減できる無駄遣いは省くべきですが、ナノ経営®で推奨する「豊かなセミリタイア」という観点からは、何でもかんでも支出を抑えてしまうことはおすすめしていません。
とは言え、支出額が少ないほど、必要資金も必要な収入も少なくて済むので、サイドFIRE・セミリタイアには近づきます。
人それぞれ人生の中で大切にしたいことや価値観、理想、許容度も違うと思うので、お金を使うところ・使わないところ等を明確にして、バランスを再検討していただくのが良いかと思います。
2.不労所得以外の年収を多くする
できるだけ早くサイドFIREを実現させ、安定的に安泰なセミリタイア生活を続けていくために、一番重要なのはここです。
「収入に関係なく、前からやってみたかった仕事や、イキイキワクワク楽しめる仕事をする」ということであれば、どんな仕事を選んでも素晴らしいと思います。
ですが、「週5日の仕事から解放されて、時間的・精神的・経済的に余裕があり豊かなセミリタイア生活をずっと続けていく」ということが第一の目的であれば、なるべく少ない労働時間で多くの収入を得られることが重要です。
不労所得の柱を太く育てていきつつ、一番は本業で大きな収入を得ることが重要です。
本業でしっかりお金を稼げる(そして手元に残せる)ことが、FIRE実現を加速します。
本業における生産性を向上させ、なるべく労働せず、あるいは少ない労働時間で、多くの収入を得られるように、自分のビジネスをつくっていくことをおすすめします。
3.利回りを上げる
どのように不労所得を得るかによります。
一概には言えませんが、高配当株なら利回り3~5%、戸建て不動産なら8~10%、S&P500インデックス投資なら6~10%前後を狙えるようです。
FIRE関連の記事では、年利4%と想定して必要資金が計算されています。
利回りをあまり高く目標設定してしまうと、その分ハイリスクな投資を行っていくことになったり、実際に達成することが困難になったりします。
そのため、まずは低めに年利4%で考えておくことがやはり妥当なのではないかと考えられます。
結局は、「支出を減らす」「収入を増やす」「利回りを上げる」という3つの方向性なので、お金の貯め方と同じになっています。
巷に溢れるFIREのやり方の注意点
週5日の労働から解放されるまでに、年月がかかりすぎる
インターネットで出てくる情報やブログを見ていると、FIREを目指している多くの方が、「節約・貯蓄・資産運用をしながら、数千万円~1億円の資金が貯まったら、仕事を辞める」という流れで考えているようです。
ですが、現在の収入によっては、その資金を貯めるまでに10年も20年もかかってしまいます。
FIRE達成できても、ずっと安泰でFIRE生活を続けていけない可能性も大いにある
早期リタイア・セミリタイアしてから想定外の大きな出費や社会情勢の変化、大暴落など何かが起こった時に、セミリタイア生活を続けていけなくなる可能性もあります。
その場合、いつでも確実に再就職できるという特別な専門資格・専門職、あるいは起業家などの方は「また働けばいい」「また稼げばいい」で済むかもしれませんが、多くの方は40代50代での再就職に苦労するのではないでしょうか。
巷で言われている「必要資金」を用意できても、全然足りない可能性が高い
FIREでは、例えば年間支出額400万円の人が不労所得だけで生活するなら、支出額の25倍、400万円×25=1億円の資金が必要とされています。
1億円を年利4%で運用すれば、不労所得が400万円になるという計算のようです。
しかし実際には、所得に税金も発生しますし、すべての資産を投資に回すのは危なすぎますので1億円の他にも現預金(いわゆる生活防衛資金)が必要です。
また、この計算だと不労所得で賄えるのはあくまで支出額です。投資収益を再投資できないと、資産が増えていかないので、インフレや暴落のことを考えると、ずっと安泰でセミリタイア生活を続けていけるとはなかなか考えにくいと思います。
さらに、年間支出額400万円というのは、家族構成や年齢、生活レベル、ライフプランによっては少ないのではないでしょうか。
年間支出額400万円の場合で1億円以上必要なので、それ以上の支出額の場合は、さらに元手が必要ということになります。
単純にサイドFIREを目指そうとしても、根本的にハードルやリスクは変わらない
完全な早期リタイアを目指すと、巨額の元手が必要になります。
そこで、完全に働くことを辞めるのではなく、少しは働き続けるサイドFIREがよくおすすめされています。
とは言え、仮に必要資金が5,000万円に下がったとしても、多くの人にとってはそれなりに年月がかかります。
5,000万円、年利4%ですと不労所得が年間200万円ほどとなります。
ただ「節約・貯蓄・資産運用」に注力するのみで、お金を稼げる力を磨いておかないと、働く時間を減らす分収入が少なくなります。
サイドFIREにしても、想定外の大きな出費や社会情勢の変化、大暴落などのリスクは変わらず、働く時間は減らせても、精神的・経済的に余裕のない生活となってしまう可能性があります。
個人的には、FIREで言われている方向性は、かなりハードルもリスクも高いのではないかと感じています。
ナノ経営®では、ただただ節約・貯蓄・資産運用という方向性ではなく、「会社に頼らず自分で大きく稼げる力、ビジネスを生み出し育てていく力」を身につけていくことをおすすめしています。
その力をつけることで、セミリタイア実現の可能性・安全性も高まり、実現できる時期も早まります。
サイドFIREするならこの方向性がおすすめ
サイドFIREの必要資金を少なくする方法、巷で言われているFIREのやり方の注意点についてお伝えしました。
まとめるとお伝えしたかったことは、不労所得をいきなり主な収入の柱にしようと考えるのではなく、まずは「会社に頼らず自分で大きく稼げる力、ビジネスを生み出し育てていく力」が一番重要ということです。
節約・貯蓄・資産運用も大切ですが、自分でお金を稼げる力を磨くことも行っていくと、セミリタイアのハードルもリスクも低くできると私は考えています。
稼げる力が弱いままで節約・貯蓄・資産運用に励んでも、FIRE達成までに長い年月がかかったり、一度FIRE達成できても心から自由や余裕を感じられなかったり、想定外の何かが起こったときにFIRE生活を続けられなくなる可能性があります。
そのうえでおすすめする、サイドFIREの方向性は以下の通りです。
フリーランス+自分のビジネス+資産運用
今すでにフリーランスとして活動している方は、受託案件のみに依存する状態を脱却して、少しずつ自分のビジネス収入の柱をつくり育てていくことがおすすめです。
なぜ受託案件を脱却した方がいいのかというと、
- 自分のスキルや時間を切り売りして対価を得る稼ぎ方なので、収入が頭打ちになりやすい
- タスクや納期に追われて、本当の自由を実感しにくい
ということになりやすいためです。
自分のビジネス収入の柱をつくるというのは、色々と考えられます。
おって別の記事で例をまとめていきたいと思いますので、ここでは割愛します。
時間当たり労働生産性の記事が少し参考になるかもしれません。
自分のビジネス収入をつくる以前に、
- フリーランスとしての収入が安定していない
- あまり稼げていない
という方は、まず固定収入を確保するために、フリーランスエージェントに案件を紹介してもらいましょう。
現在までの経験やスキル、案件、エージェントによりますが、週3日で月30~50万円、週5日で月50万円~80万円くらいの案件が多いです。
フリーランスとしての固定収入を確保しながら、自分のビジネス収入の柱を育てていき、毎月の収入を大きく安定させていきながら、少しずつ投資・資産運用を始めていくと良いです。
ビジネスで大成功しなくても、毎月30万円投資に回して積み立てていくと、20年で1億円以上になります(年利回り4%の場合)。
毎月50万円投資に回して積み立てていくと、13年で1億円以上に、20年なら1億8,000万円以上になります(年利回り4%の場合)。
会社の給料や受託案件に依存せず、自分のビジネスで稼げる力(お金が入ってくる仕組みや信用も含む)があり、行く行くは資産も1億円以上になっていれば、どんな時代や社会になったり想定外のことがあっても、生き残っていける確率はだいぶ高めだと思います。
会社員+自分のビジネス+資産運用
今フリーランスではなく会社にお勤めの方は、無理にフリーランスになる必要はないと思います。
会社の給料で固定収入を確保しながら、少しずつ自分のビジネス収入の柱をつくり育てていきましょう。
プログラミングなどは、好みや向き不向きも分かれますので、誰にでもおすすめはできませんが、「楽しい」「好き」「面白い」と思える人なら、総合的にみて、おすすめできると思います。
起業家・経営者・戦略家として優れている方だと、自分でプログラミングを学ばなくても、必要に応じてプログラミングのプロに業務を委託したりして、ビジネスをつくり上げていきます。
それができる方は、プログラミングなど何か具体性のある(抽象度の低い)スキルを学ぶ必要は全くないと思います。
ですが、できるだけ多くの人にとって再現性が高く、豊かなセミリタイア生活に到達しやすい方向性としては、プログラミングなどを学ぶことはおすすめできます。
自分で営業せずに、フリーランスエージェントに案件を紹介してもらえて、フリーランス案件の中では比較的高単価で需要が多く、固定収入を確保できるスキル、という点では一番プログラミングがおすすめです。
学生時代に数学が好きだった人などは、プログラミングが合う可能性があります。
仕事をしていく上で、直接的に数学が必要な訳ではないので、数学が苦手でも、プログラミングは「面白い」と思える可能性もあります。