マイクロ法人とは
社長一人、または社長とその家族による小さな会社
マイクロ法人とは、「出資者兼経営者の社長一人だけで設立・運営される一人会社」のことを主に指します。
特に、節税や社会保険料対策として立ち上げられる会社について、マイクロ法人と言われている場合が多いです。
正式な法律用語ではないので、明確な定義がある訳ではありません。
- 個人事業主として2つ以上の事業を手がけている場合は、事業の一部を法人に移すことで、社会保険料や所得税を抑えることができるなどメリットがあります。
その場合は、個人事業と法人で明確に異なる事業を行っていくことが重要です。 - 1つの事業のみ行っている個人事業主の場合でも、ある程度の所得(利益)があるなら、一人法人を設立して事業を行っていく方が、節税や資産形成のうえでメリットがあります。
一人会社だけではなく、社長とその家族により運営される小さい会社のことを含む場合もあります。
プライベートカンパニーとも呼ばれます。
会社から独立して、自分だけの会社「マイクロ法人」を立ち上げるという生き方は、作家の橘玲氏が提唱しています。
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規模の拡大を目的としない、自分だけのプライベートカンパニー
個人と法人の2つの「財布」を持つことで、適切に節税や資産形成を目指せる
マイクロ法人は、売上を着実に大きく伸ばして、従業員をたくさん雇って、広いオフィスに引っ越して、さらに規模を拡大して…ということを目指しません。
マイクロ法人は、社長一人または社長とその家族のみによる小さい会社です。
従業員を雇わないことから、マイクロ法人の一人社長は、個人と法人の2つの「財布」を持つことができます。
節税や資産形成の上で、様々なメリットがあります。
「一人社長+外注」という形態で事業を運営する会社・起業家も増えている
一般的に、法人・企業・会社と聞くと、オフィスがあったり従業員を雇っている組織・団体をイメージされる場合が多いです。
近年は従業員を雇って抱えていくよりも、必要に応じて外部に業務委託・アウトソースして経営する方針に転換している会社も出てきています。
外部の企業やフリーランスのパートナーと業務委託契約を結び外注しながら、事業を回して売上を伸ばしていく会社も増えています(事業のコア業務は外注しない方が良いです)。
特にWeb・IT系の小規模会社だと、一人社長+外注で、立派なオフィスは持たずレンタルオフィスやバーチャルオフィス、という「持たない経営」で問題なく事業を回して、大きな利益を出している会社も珍しくありません。
マイクロ法人を設立するのは違法?
法人をつくって節税することは違法ではない
Googleの検索数のデータによると、なぜか「マイクロ法人 違法」と検索している人が一定数いるようです。
マイクロ法人とペーパーカンパニーを結びつけていたり、節税目的で法人をつくることは違法なのではないか、気になっているのかもしれません。
個人事業主が節税や社会的信用などのメリットを考慮して、社長一人だけのマイクロ法人を設立すること自体はもちろん違法ではありません。
法人を設立することで、合法的に節税したり資産形成する手段が増えます。
脱税や悪徳行為を行うなら、その行為自体が違法となり得る
一方、脱税や粉飾決算、租税回避、悪徳商法の隠れ蓑として利用するなどの目的で、事業活動の実態がない法人(いわゆるペーパーカンパニー)がつくられることもあります。
ゴーストカンパニー、ダミー会社とも呼ばれます。
法人を設立することが違法なのではなく、そういった目的で法人を設立し、実際に脱税や悪徳商法などを行うこと自体が違法となり得ます。
マイクロ法人は、事業活動の実態がある点で、ペーパーカンパニーとは大きく異なります。
マイクロ法人は、法人設立によって得られる恩恵を享受しながら、事業を遂行していくための会社です。
「脱税」「節税」「租税回避」の違い
まず大まかに言うと、「脱税」は犯罪です。
絶対にしてはいけないことです。
懲役や罰金による刑罰が定められており、逮捕される可能性もあります。
一方、「節税」や「租税回避」は違法ではありません。
「節税」は、合法的で正当なものです。
「租税回避」は、法の網の目をくぐるようなものです。
違法ではありませんが、否認されることもしばしばあるようです。
脱税とは、課税される要件があるにも関わらず、これを故意に隠して、課税を不法に免れようとする行為です。
例えば、売上をわざと除外したり、架空の経費を計上したりして、所得を圧縮する行為は脱税となります。
脱税の罰則はかなり厳しく、延滞税、加算税、刑事罰の3つがあります。節税とは、税法が予定している範囲で税負担を減少しようという行為です。
例えば、必要経費を適切に計上して課税所得を圧縮したり、税額控除などを利用して税金の額を少なくすることは、税法によって認められた行為ですので脱税にはあたりません。
むしろ、余分な税金を支払って資金繰りに窮してしまわぬよう、積極的に利用していくべきものです。租税回避とは、税法が想定していない形式で税負担を減少させようとする行為です。
脱税が、課税される要件がありながらこれを隠す行為であるのに対し、租税回避は課税要件をくぐり抜けるためだけに、通常ではありえない不自然、不合理な取引形態を採用することを言います。
つまり、法の抜け穴を突いて、課税を逃れようとする行為と言えます。出典:節税と脱税、租税回避の違いを説明できますか?税理士がわかりやすく解説します | 経理プラス