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労働生産性の目安・基準とは?計算式や生産性を向上させる方法を解説

労働生産性の目安・基準とは?計算式や生産性を向上させる方法を解説

労働生産性の向上は、お金の余裕・時間の余裕・心の余裕に溢れる経営を行っていくために欠かせません。
私はこの指標を最も重要視しています。

労働生産性の意味や計算式、生産性が低い理由を知り、労働生産性を上げていきましょう。

このブログでは特に、セミリタイアしたい一人社長・フリーランスの方に向けた内容もお伝えしていきます。

労働生産性とは

「投入(input)した労働に対して、どれだけ成果・価値を産出(output)できたのか」という指標です。

一言で言うと、「労働者一人当たりの付加価値額」または「労働時間1時間当たりの付加価値額」です。

できるだけ少ない労働量で、多くの成果・価値を生み出すほど、「労働生産性が高い」と言えます。

付加価値額の計算方法は、学問的には様々あるようなのですが、実務的・簡易的には「付加価値=粗利益(=売上総利益=売上高-原価)」と考えて問題ありません。

労働生産性の計算式

引用元:『生産性とは | 生産性運動について | 公益財団法人日本生産性本部』

●労働者一人当たりの労働生産性=年間粗利益額÷労働者数
●労働時間1時間当たりの労働生産性=年間粗利益額÷(一人当たりの年間労働時間×労働者数)

計算式としては、上記のようになります。

従業員を雇わずに会社を経営している一人社長やフリーランスの方の場合は、稼働するのは自分一人です。
そのため、計算がシンプルになりますね。

フリーランスの外注パートナーチームを組織して事業を回している一人社長もいると思いますが、指揮命令ができる雇用関係ではなく従業員ではないので、分母は社長一人について考えます。
(実態によっては、外注パートナーも考慮して計算し数字を分析すると、外注量・内容や外注先を見直すきっかけになる場合もあります。)

●一人社長・フリーランスの労働生産性=年間粗利益額
●一人社長・フリーランスの時間当たり労働生産性=年間粗利益額÷年間労働時間

念のためですが、

粗利益額=売上高ー売上原価

です。

法人経営者の方は、決算書の「損益計算書」に記載されている「売上総利益」の金額が粗利益です。

個人事業主の方は、売上高から、仕入れ・外注費など原価に相当する金額を差し引いてみてください。

「労働生産性という言葉を知らなかった、初めて聞いた」
「労働生産性は聞いたことがあったけど、自社(自分)の数字を出したことがなかった」

という方は、早速この機会に計算してみましょう。

まずは正確に現状を把握することが、経営改善、ひいてはセミリタイアへの第一歩です。

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労働生産性ランキング・国際比較

日本生産性本部の公表する『労働生産性の国際比較 2021』によると、日本の時間当たり労働生産性は49.5ドル(およそ5,000円/時間)で、OECD加盟国38ヶ国中23位です。
また、日本の労働者一人当たり労働生産性については78,655ドル(およそ809万円/人)で、OECD加盟国38ヶ国中28位です。

つまり、日本は国際的に見て、労働生産性が低いです。

「よそはよそ、うちはうち」ではないですが、あまり他人や他社、他国と比較しても仕方ないかなと個人的には考えています。

また、そもそも「平均値・平均の数字」はあまり参考にならないことも多いです。
同じ日本の中でも、企業規模によっても差がありますし、同じくらいの企業規模でも、業界業種・経営戦略・経営者の手腕などによって企業ごとに割とばらつきがあります。

※ご参考: 中小企業庁 2021年版『中小企業白書第2章: 中小企業・小規模事業者の実態
業種別・企業規模別の付加価値額(平均値・中央値・上位10%・下位10%など)やフリーランスの実態コラムなどが書かれています。

しかし、一つの事実として現状を知っておくことは大切だと思うので、ご参考までに掲載いたします。

こうして数字を見ると、「これからまだまだ生産性を高めて、もっと働く時間を減らしていけるはずだ」と感じられるのではないでしょうか。

時間当たり労働生産性ランキング(2020年・OECD加盟国38ヶ国比較)

1位 アイルランド  121.8ドル
2位 ルクセンブルク 111.8ドル
3位 ノルウェー    88.8ドル
4位 デンマーク    88.2ドル
5位 ベルギー     86.1ドル
6位 スイス      81.5ドル
7位 米国       80.5ドル
8位 オーストリア   79.4ドル
9位 フランス     79.2ドル
10位 スウェーデン   78.9ドル 

・・・

23位 日本      49.5ドル

一人当たり労働生産性ランキング(2020年・OECD加盟国38ヶ国比較)

1位 アイルランド  207,353ドル
2位 ルクセンブルク 158,681ドル
3位 米国      141,370ドル
4位 スイス     131,979ドル
5位 ベルギー    126,641ドル
6位 ノルウェー   126,002ドル
7位 デンマーク   123,792ドル
8位 フランス    116,613ドル
9位 オーストリア  115,489ドル
10位 オランダ    115,228ドル 

・・・

28位 日本       78,655ドル

出典: 日本生産性本部『労働生産性の国際比較 2021

労働生産性の目安・基準

中小企業庁 2021年版『中小企業白書第2章: 中小企業・小規模事業者の実態』や日本生産性本部『労働生産性の国際比較 2021』を実態・データとして参考にしました。

個人事業者含め中小企業・小規模企業の場合は、一人当たり労働生産性1,000万円超なら割と上等、1,500万円超ならかなり上等な方と考えられます。

前述の通り、企業規模・業界業種・経営戦略・経営者の手腕などにより労働生産性の数値は様々なので、基準値や目安は一概に言えません。

PDF『第2章: 中小企業・小規模事業者の実態』の15ページ目に、「企業規模別・業種別の労働生産性」が記載されています。
あわせてご参考になさってみてください。

労働生産性が低い理由

労働生産性の数値は算出できましたか?

●労働者一人当たりの労働生産性=(売上高ー売上原価)÷労働者数
●労働時間1時間当たりの労働生産性=(売上高ー売上原価)÷(一人当たりの年間労働時間×労働者数)

という計算式から、労働生産性が低くなる理由について考えてみましょう。

要素が重複するので、一人当たり労働生産性については割愛し、時間当たり労働生産性が低い理由について考えます。

当たり前に思われるかもしれませんが、計算式を理解して要素を分解することで、労働生産性を向上させるための方向性がわかります。

方向性が明確になると、改善の具体的なアイデア・工夫を発想しやすくなります。

時間当たり労働生産性が低い理由

計算式から要素を分解してみると、時間当たり労働生産性が低い理由は、

【1】売上高が低い
【2】売上原価が高い(原価率が高い・粗利益率が低い)
【3】一人当たりの労働時間が長い
【4】労働者数が多い

となります。

一人会社の社長が労働生産性を上げるには

一人社長・フリーランスの場合には、「労働者数が多い」ということはないので、「売上高が低い」「原価率が高い」「労働時間が長い」の改善を考えることになります。

【1】売上高を上げる
【2】原価率を下げる
【3】(売上高を下げずに)労働時間を減らす

どの項目が最も優先度が高いのか、各項目を改善するための具体的なアイデア・工夫としてどのようなことが効果的で成功確率が高いか、などは社長・会社によって変わってきます。

【1】売上高を上げる

売上高を上げれば当然粗利益額も増えますが、そのために先行投資・コストがかかったり、時間や労力もかかりがちです。

コスト・時間・労力がかかりにくく、比較的即効性のある、単価アップという方法もあります。
場合によっては、大きく粗利益額を伸ばせます。
結果的として労働生産性も改善し、最終的に手元に残る利益も大幅に増えます。

現在、適正価格でサービス・商品を提供できていない方には特に、まず単価アップをおすすめします。

実際のところ、適正価格でサービス・商品を提供できていない方は多いので、基本的に一考の余地があります。

単価アップはやり方や価格設定次第では、かえって粗利益額が下がるリスクもはらんでいます。

単価アップの具体的な方法やポイントについては、別の記事でまた取り上げる予定です。

ちなみに、広告収入やアフィリエイト収入などは、サイト・ブログを育てるのに先行投資として時間も労力もかかり、軌道に乗るまでは労働生産性としては低くなります。
しかし一定のレベルを越えると、労働時間に連動せずに遥かに売上高が増えていきやすいので、労働生産性がかなり高くなります。
セミナー・講座・塾ビジネスを行っている方なども、労働時間に連動せず売上高を増やしていけるので、労働生産性がかなり高くなり得ます。

【2】原価率を下げる

仕入れや外注費など原価がかかっていない方はそもそも改善のしようがないのですが、仕入れが外注費がある方は原価を下げるために交渉・相談したり、仕入れ先・外注先を切り替えるという方向性が考えられます。

しかし、これもやり方や見極めを誤ると、サービス・商品の品質が下がり、中長期的に見るとかえって売上高が下がり、粗利益額が下がるリスクもはらんでいます。

【3】(売上高を下げずに)労働時間を減らす

場合によっては効果も大きく、ほぼリスクなしで即行着手しやすいのは、労働時間を減らす工夫です。

売上高を下げずに労働時間を減らすための具体的なアイデア・工夫を考えるために、まず現在の労働時間の内訳を把握しましょう。
少々手間はかかりますが、1週間、1ヵ月間など、適当な期間を決めて、行ったこととそれに費やした時間を記録することをおすすめします。

私の場合はGoogleカレンダーで、「経営管理・戦略企画」「マーケティング・営業」「納品(制作・コンサル)」など業務ごとに分けていくつかカレンダーを作り、記録していました。

それから、記録した事実・データを基に分析します。

分析の仕方は色々あると思いますが、記録した一つひとつの内容を細かく見ていくときりがないので、大まかに言うと、

(1)そもそも付加価値(粗利益)を生まない仕事は、今後やらない・やめる・捨てる
(2)システム化・テンプレ化・AI・ツール活用などにより、可能な範囲で業務を自動化・時間短縮化する
(3)外注パートナーに任せて、一部の業務を外注化する
(注意点:競争力の核となる業務は外注しない。計算を誤ると、かえって生産性の数字が悪くなる。)

ということを念頭に置きつつ、記録した事実・実態を踏まえつつ、具体的な改善アイデア・工夫を書き出していきます。

各アイデアについて、実効性(改善余地とポテンシャル)・実行性(リスクとコスト)を踏まえて、優先順位を見極めます。
優先順位を決定したら、それぞれ一つずつすぐに実行していきましょう。

ちなみに、改善アイデアについてもっと具体的には、一部の例ですが、

●販売時に案件ごとに詳細な見積もり算出が必要になる、オーダーメイド型のサービスをやめる(毎回見積もり作成の時間が無駄。しかも見積もりを出して失注する場合もある。)
●サービス・商品をパッケージ化する
●サービス・商品ラインナップを減らす、絞り込む
●(Webサイト制作業務において)WordPressテーマの購入・カスタマイズのパターン化
●(Webサイト制作業務において)流用・活用して差し支えないコード・プログラムの使い回し

などです。労働生産性改善につながる施策はこの他にも様々あります。

フリーランスエージェントおすすめ2選

・ITプロパートナーズ … 累計利用ユーザー数70,000名突破。約6割が週3~4日案件。約7割がリモート案件。案件保有数は、4,000件以上。9割が直案件で、単価も高いので少ない稼働日数でも十分な固定収入を確保。安心して自分のビジネス収入の柱づくりにも注力できる。
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  • この記事を書いた人
しゅんのすけ

しゅんのすけ

創業11年。一人株式会社の代表取締役。隠居系自営業。
21歳 大学を休学して就職(営業・販売)
24歳 Web制作・Webコンサル起業
25歳 法人化→ご縁に感謝、6年連続で売上・収入が大幅に増加→尋常でなく働く毎日→終わりのない忙しさに挫折(30歳)
31歳 事業の仕組みを工夫・改善し働く時間を極限まで削減、「お金の余裕・時間の余裕・心の余裕」を追求
現在 主に週1日だけ在宅で働き、他の日は瞑想・統合や趣味・好きなことをして過ごしています

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